会計士の藤井です。
ここの所、今すぐ資金が欲しいという理由でお問合せをいただく会社様がかなり多いです。
確かにコロナの影響で売上が減少し、資金繰りがいつにも増して厳しくなっているケースが多いことでしょう。
しかし、銀行はすぐに貸してくれないので、結果としてノンバンクに頼るということになりがちです。
そこで、今回は余裕のある時に一度少額の融資を受けておくことを提唱します。
これから融資を受けようと思っているが迷う
銀行の審査が長すぎて資金繰りが持たない
本日はこのような課題をお持ちの方にお届けします。
2回目からは審査が早い
それでは、なぜ資金繰りが厳しくない時に敢えて借りておくことが必要なのか。
結論から言うと「初回融資の審査は時間がかかり、2回目以降は審査が早い」からですね。
というのも、銀行側から見れば、初回の融資は最も慎重になるからです。
銀行は返済履歴をかなり重視します。
裏を返せば、返済履歴(=融資履歴)がない会社はどれだけ決算書の内容が良くても信用できないというのが銀行の考えです。
さらに、民間金融機関であれば、初回の融資は必ずと言っていいほど「保証協会付き融資」を求められます。
この保証協会というのは、いざ融資の返済が滞った時に代わりに立て替えてくれる機関です。不動産でいう家賃保証会社とコンセプトは同じです。
この保証協会があることで、銀行はほぼノーリスクで初回融資を実行することができる一方、保証協会は返済リスクを負います。
そのため、初回融資は保証協会の審査を経ることになります。
この保証協会ですが、なかなか時間がかかるもので、酷い時は保証協会の担当者が決定するまでに1か月とかざらにあります。
保証協会の審査にOKが出ないと銀行は絶対に初回融資を実行しませんので、この保証協会が重要な鍵を握っていることがお分かりになると思います。
一方で、2回目の融資においては引き続き保証協会付き融資になることが多いのですが、保証協会の審査スピードは格段に速くなります。
やはり一度審査にOKが出て、かつ、返済実績があるのが雲泥の差になります。
なので、次回以降いつでも借りられるように、一度100-300万円程度で良いので、運転資金の名目で融資を受けておくことが有効になります。
余裕のある時は借りやすい
さらに言うと、資金繰りに困ってからでは融資を受けることが難しくなる、という性質もあります。
銀行の目線としては、儲かっていて財務体力に余裕があるときほどお金を貸してくれるので、やはり調子のよい時に一度でも借りておくことが重要となります。
最も資金が必要な時こそ貸して欲しいと思うのは十分理解できますが、返済能力を重視する銀行としては、どうしても晴れの日に貸して雨の日に傘を取り上げてしまうのです。
銀行の性質はこちらでは管理不能なので、企業の戦略としてはやはり余裕があるうちに一度融資を通しておくというのがお勧めです。