会計士の藤井です。
事業承継というと、一部の間においては「身売り」であったり、先代経営者の経営力が低下したことによる「引退」みたいなイメージがあるようです。
確かにそのような言説も間違いではありません。
しかし、本来の事業承継というのは経営のバトンを受け継いでいくという側面の他に、後継者が時代に即したビジネスに更新・改善していくものです。
そこで、本日は「事業承継は経営革新のチャンス」である理由と、事業承継前後の変化について解説したいと思います。
事業承継に関してネガティブなイメージがある
後継者には我が社を改革してほしいと思っている
本日はこのような疑問にお答えします。
事業承継は企業を変える絶好のチャンス
事業承継を経ることは会社を改革する絶好の機会と言えます。
特に内部承継においては、若き後継者が過去にとらわれない大胆な発想をもって社内を変革する意思と能力があります。
というのも、先代経営者においてはどうしても過去の成功に固執してしまうことが多いからです。
世の中が激しく変化する現代ですので、残念ながら過去の成功パターンが現代でも上手くいく保証はどこにもないでしょう。
その点、後継者となりうる人物は立場的にゼロベースで物事を考えられる位置にいますから、現代に合わせた経営スタイルに変革することに期待が持てます。
また、後継者は最新のテクノロジーにも理解があることが多いでしょうから、社内システムを刷新することも難しくありません。
事実、数百年続く企業というのは後継者が事業を承継するたびにその時代に応じたビジネスを展開し、現在まで生き残っているという例が多いです。
このように、事業承継というイベントを通して、会社を改革するよい機会になるものと考えています。
一方で、恐らくですが先代の経営者がこのようなある種痛みを伴う改革を行うことは困難であるはずです。
その理由として、先代経営者を長年陰で支えてきた古参の従業員が反対する傾向にあるためです。
もちろん、後継者が改革を行うとしても一定の反発はあり、会社の新方針に猛反対する社員のうち数名の退職は避けられないかもしれません。
しかしながら、後継者にとっては何のしがらみもないことが強みの一つであり、企業をより強くより長きに渡って繁栄させるために、うまくこの強みは使いたいところです。