跡継ぎ社長を支援する財務戦略会計士の藤井です。
跡継ぎ社長にとって頭を悩ませることの一つが「従業員の給与をどのように決めていくか」です。
従業員の給与の決め方ですが、それぞれの社長の考え方があると思います。
従業員に報いたいので給料をできるだけ上げたいという社長もいあれば、そうでない社長もいることでしょう。
しかし、企業経営の観点からすると、人件費は収益とのバランスで決めることになります(そうでないと会社が傾きます)。
そこで、本日は従業員給与をどのようにして決めるべきか、その考え方も含めて思うところを書いてきます。
給与の決め方
給与の決め方に正解はありません。
しかしながら、ある程度の指針というのは存在します。
今回はその指針についていくつかご紹介していきます。
相場よりも若干高めを意識
まず、給与額は平均相場よりも若干高めの金額にすることで従業員の満足度を維持しやすいです。
もちろん役職によっても出すべき給与は変わってくるのですが、従業員側として他社の給与と比較することはよくあります。
他者や平均と比較して低ければ、他社で働いたほうがいいだろうという感覚に陥るので、少し色をつけてあげると良いかなと思います。
弊社も人材を募集する時は相場よりも少し高い金額で募集しているのですが、金額面で不満を言われたことは今のところありません。
基本給ではなく賞与や手当で調整する
次に給与の設計に関してですが、基本給ではなく各種手当で報いるという手法があります。
これは、基本給は一度上げると下げるのが難しいので、今回のコロナ禍のように緊急事態に陥ったときに人件費の負担が増加してしまいます。
企業経営しているとわかるのですが、毎期うまくいく訳ではない一方で、給与は毎年一定額支払うことになります。
経営者としてもある程度柔軟に人件費を調整する手段だけは持っておきたいところです。
そこで、業績が良い時は基本給を上げるのではなく賞与を出すことで従業員に報います。
また、住宅手当などの各種手当は今回のコロナ禍など緊急事態が発生した時に理由をつけて減額することも基本給よりは容易にできます。
経営者として従業員にできるだけ給与を払いたい気持ちは痛いほどわかります。
しかし、何が起こるのか分からないのが企業経営。経営危機時に社員を路頭に迷わせないためにも、柔軟な給与設計を整備しておくべきでしょう。
昇給以外で社員のモチベーションを高める方法
給与を上げることで社員のモチベーションが一時的には上がるのですが、金銭的なモチベーションは長続きしないことが多いと実感しています。
特に若い世代は経済的な側面よりも社会的インパクト、仕事の意義、あるいは働きやすさを重視する傾向にあります。
そのため、昔ほど給与を上げることが社員のモチベーションに直結しなくなってきているのも事実です。
そこで、令和時代に従業員のモチベーションを高めるために次の点を意識するとよいでしょう。
福利厚生の充実
まず、福利厚生を充実させることです。
福利厚生といっても色々ありますが、ここでは企業が自由に設定できる福利厚生のことを指します。
住宅手当、資格取得サポート、写真旅行ランチ費用の補助などが挙げられます。
近年のトレンドとしては福利厚生を自社で設定するのではなく、専門の企業にアウトソースすることです。
例えば、最大手のベネフィット・ワンが提供する「ベネフィット・ステーション」であれば、従業員一人当たり月額数百円から加入でき、100万件を超える福利厚生サービスを受けることができます。
このベネフィットステーションでは、従業員が旅行料金、エンタメ施設、資格取得、レストランなどのサービスについて割引を受けられます。
働き方の多様化
次に働き方の多様化が挙げられます。
これはどちらかというと古参社員よりも若い世代の社員向けの話ですが、働き方を多様化させることで逆に会社への帰属意識が高まります。
というのも、世代によって会社の位置づけが変わってきたからです。
昔は会社=人生みたいなところがあって会社に強い帰属意識があったと思います。
しかし、日本が豊かになるにつれてそのような帰属意識もだんだん薄れていき、個々人の自由や働きやすさがより重要になってきたと実感しています。
もうすでに実行されている企業も多いとは思いますが、例えば「テレワーク」を推進するとか働く時間を今よりも柔軟にするとか。
なので、令和の時代においては社員がいかにのびのびと働けるかが重要な視点となります。
無論、テレワークできない業種があることも承知の上で言っています。
ただ、経営者として大事なのは社員にのびのびと働いてもらい成果を出してもらうこと。
極論、どのような働き方であったとしても、成果がでれば経営者側として満足できるはずです。