会計士の藤井です。
以前の記事で資本性ローンについて解説しました。
この資本性ローンは返済順位が他の債務よりも低い負債のことを言いますが、企業再生の場面では通常の負債を資本性劣後ローンに振り返ることもあります。
これをDDS(Debt Debt Swap)と言います。
本日はこのDDSの概要と使い道について思うところを書いていきます。
なんとしても債務超過を脱出したい
金融機関から支援を受けて企業再生の道を歩みたい
本日はこのような疑問にお答えしていきます。
DDSとは何か?
DDS(Debt Debt Swap)とは、金融機関が既存の貸出債権を返済順位が低い資本性劣後ローンに振り替えることをいいます。
債務を負う会社側からすれば、債務の劣後化によって借入金の返済負担が減りますので、資金繰り的にも改善が期待できます。
また、金融機関側としても、DDSの分だけ銀行の査定上は負債が資本になりますので、金額によっては貸出先が債務超過を脱却できることもあります。
そうなると、銀行の査定が上がり、債務者区分が上がった場合は貸倒引当金を当てなくて済むようになるかもしれません。
そういった意味で、DDSは会社側と金融機関側の両方にとってメリットとなる可能性があります。
DDSの上手な使い方
DDSは基本的に企業再生の局面で用いられます。
企業再生局面においては、企業は厳しい財務内容と資金繰りに直面していることがほとんどです。
そのような中で、まずは債務を劣後化させて銀行査定上の評価を上げ、追加融資など継続的な融資支援等を行えるようにします。
ここで重要になってくるのが、DDSの後に業績が回復し、企業再生が実現するかということです。
というのも、DDSを行っただけでは会社の会計上負債が減っているわけではありません。
あくまで、銀行の査定上負債が資本とみなされるだけであって、銀行に返済すべき金額は債務免除をされない限り変わっていないからです。
そのため、最も重要なのは金融機関からDDSを含む追加の支援を受けた後の経営改善です。
その経営改善手法は「経営改善計画書」という資料にまとめられますが、この計画書が絵に描いた餅にならないように、実現的かつ実行可能な戦略をまとめて、着実に成果を出すことが大切になってきます。
なお、この経営改善計画書ですが、私のこれまでの経験では以下のような内容を盛り込むことが多かったです。
- 会社概要:事業概要、組織図、ビジネスモデル
- 現状分析:内部及び外部環境分析、財務分析
- 経営戦略:事業戦略、アクションプラン
- 財務計画:予想PL、資金繰り表
また、日本政策金融公庫では経営改善計画書のテンプレートを配布しているので、そちらも参考にすることができます。