財務戦略会計士の藤井です。
銀行から融資を受けた後は決められた返済スケジュールに従って返済していくと思うのですが、中小企業の多くは「銀行との付き合いは融資だけ」と考えています。
でも、銀行も御社の発展を願っていてできることをやりたいと思っていますし、企業側も銀行を使い倒す気概でいても良いのではと思います。
本日は、日々銀行の方とお付き合いしていて感じる、中小企業の銀行の活用方法について思うところを書いていきます。
銀行とのお付き合いを加速させていきたい
銀行の融資以外のサービスについて知りたい
本日はこのような疑問にお答えしていきます。
銀行は敵ではなくパートナー
銀行というと、返済ができなくなった時に取り立てに来る怖いイメージをお持ちの方もいらっしゃると思います。
昔はそうだったかもしれません。
ただ、今は国内の経済縮小に伴って新規の貸出先候補も減り、できる銀行担当者は貸出先に対して真摯に支援をしようとしていると感じています。
銀行側としても、支援したことで貸出先企業が成長して、返済原資の確保や更なる追加融資の提案機会が増えれば、それは喜ばしいことです。
そういった意味で、銀行との関係値は「お金を貸し借りする(上下のある)関係」ではなく「対等な立場でのパートナー」と捉えるようにしましょう。
銀行を活用する方法
本題の銀行活用方法ですが、以下に4つ挙げさせていただきました。それぞれ解説していきます。
営業先紹介
まず、営業先の紹介です。
これがなぜ可能かというと、銀行というのは非常に多くの取引先を抱えているので、ある種のコミュニティーとして機能する側面もあるためですね。
なので「銀行はお金を借りる場所」という固定観念に縛られずに、一度担当者に営業先を紹介してもらうよう聞いてみるのが良いです。
個人的には、この営業先の紹介依頼が、できる銀行担当者かどうかのスクリーニングになると思います。
というのも、銀行側からみて営業先を紹介したからといって特に銀行の売上が上がるわけでもないですし、ノルマが達成できるわけでもありません。
それでも動いてくれる銀行担当者は、御社の成長を真摯に考えてくれていることの一つの証左です。
逆に、特に必要もないのに追加融資借りてください、とだけ営業する銀行担当者はちょっと要注意です。
どちらが御社のことを考えているかは明白でしょう。
ちなみに、日本政策金融公庫などの政府系金融機関においては基本的に営業担当者がつかないので、営業先の紹介は民間金融機関に打診するようにしましょう。
事業承継
次に事業承継でも銀行は機能します。
こちらも上記の営業先紹介と同じ理屈で、多くの取引先を抱えているが故に、マッチングの精度も比較的高いのではと思います。
特に地方においては、銀行が地域経済の中心となっている面もありますので、銀行に情報が集中する傾向にあります。
当然ながら、事業承継やM&Aは情報が集まっている場所が強いですし、マッチングの可能性も広がりますので、銀行に事業承継の相談をするのは一案と思います。
また、事業承継において障壁となる自社株の買取も融資の提案を行ってくれますし、銀行によっては信託スキームの提案もできますので幅が広がります。
海外進出
次に海外進出です。
こちらは比較的規模の大きい地銀かメガバンクでの相談がメインになるかと思いますが、相談するなら進出予定先に支店や駐在員事務所を構えている銀行が望ましいです。
具体的には、進出先の情報収集はもとより、進出後のファイナンスに関してもクロスボーダーローンや親子ローンなどのスキームを提案してくれるものと思います。
私の海外在住(主にアジア諸国)での経験上、海外進出コンサルタントって有象無象いるので、信頼できる人を探すのが本当に難しいです。
中には情報の非対称性を盾に超高額なフィーを請求する海外進出コンサルタントもいるので、まずは信頼できる規模大きめの銀行に相談してみるのが良いかなと思います。
もし、海外進出に興味があれば、私がインドネシア・シンガポール・中国在住時に培った信頼できる海外在住日本人をお繋ぎしますので、お気軽にお問い合わせください。
資産運用
資産運用も銀行が得意とする分野ではあります。
対面で納得いくまで相談できるのと、資産運用全体のアドバイスができるのは一つメリットになるでしょう。
ただ、銀行が提案する資産運用の商品は手数料が高めなので、個人的にはそこまでお勧めできません。
事業承継時にお話した信託スキームなどは(銀行の得意分野ではあるので、特殊なスキームは銀行に一度相談する価値はあると思います。