会計士の藤井です。
海外展開は国内事業よりも難易度が高いので、海外展開をするに当たって補助金などが欲しいという方もいらっしゃることでしょう。
政府としてもこの先国内の人口が減っていく中で、海外への活路を見出す企業を積極的に支援していきたいと考えています。
そのため、政府や自治体から複数の補助金が出ています。
本日は、海外展開にまつわる補助金を紹介するとともに、その使い方について思うところを書いていきたいと思います。
海外展開にかなり興味がある
海外展開時のコストを賄える補助金を探している
本日はこのような疑問にお答えしていきます。
国の海外展開補助金
まず、政府の海外展開の補助金は「経済産業省」が主導しているケースが多いです。
というのも、海外展開を推進しているのは経産省管轄の中小企業庁や日本貿易振興機構(JETRO)であるからですね。
当記事では、2つの補助金を紹介したいと思います。
ものづくり補助金(グローバル展開型)
ものづくり補助金とは「中小企業等による生産性向上に資する革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資を支援する補助金」です。
要するに生産性を上げる新サービスや新製品などを構築・製造する際の費用を補助しますよ、というものです。
このものづくり補助金には複数の類型があり「一般型」「ビジネスモデル構築型」「グローバル展開型」があります。
このうち、グローバル展開型は以下のような趣旨で中小企業を支援します。
中小企業者等が海外事業の拡大・強化等を目的とした「革新的な製品・サービス開発」又は「生産プロセス・サービス提供方法の改善」に必要な設備・システム投資等を支援(①海外直接投資、②海外市場開拓、③インバウンド市場開拓、④海外事業者との共同事業のいずれかに合致するもの)
経済産業省「ものづくり補助金公募要領」
つまり、グローバル展開型は4つの類型に当てはまる必要があります。
①海外直接投資型
グローバルな製品・サービスの開発・提供体制を構築する取組です。
国内拠点の生産性を高めることが重要になります。海外支店や海外子会社の外注費、機械装置・システム構築費が対象になります。
②海外市場開拓型
海外顧客に対して新たに市場を開拓する取組です。
国内に補助事業実施場所があり、製品等の販売先の2分の1以上が海外顧客が条件です。さらには計画期間中の補助事業の売上累計額が補助額を上回る事業計画を有している必要があります。
③インバウンド市場開拓型
訪日外国人観光客に対して市場を開拓する取組です。
国内に補助事業実施場所を有し、サービス等の販売先の2分の1以上が訪日外国人であることが条件です。
さらには計画期間中の補助事業の売上累計額が補助額を上回る事業計画を有している必要があります。
④海外事業者との共同事業型
外国法人と共同研究、共同事業開発に伴う設備投資を行う取組です。
国内に補助事業実施場所を有し、外国法人と行う共同研究・共同事業開発に伴う設備投資等であり、その成果物の権利(の一部)が補助事業者に帰属することが条件です。
なお、補助金額などの情報は以下の通りです。
項目 | 要件 |
---|---|
補助金額 | 1,000-3,000万円 |
補助率 | 中小企業者 1/2 小規模事業者 2/3 |
設備投資 | 税抜50万円以上の設備投資が要件 |
補助対象経費 | 機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費 運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費 外注費、知的財産権等関連経費、海外旅費 |
事業再構築補助金
2021年に導入される予定の補助金で、ポストコロナ時代の経済社会に対応するため企業の思い切った事業再構築を支援する補助金です。
この事業再構築補助金の中には、中小企業の卒業枠及び中堅企業のグローバルV字回復枠というものがあります。
それぞれ400及び100社限定となっていますが、採択されればもらえる補助金は6,000万円から最大1億円と、かつてない規模の補助金となっています。
企業類型 | 補助類型 | 補助額 | 補助率 |
---|---|---|---|
中小企業 | 卒業枠(400社限定) | 6,000万円超-1億円 | 2/3 |
中堅企業 | グローバルV字回復枠 (100社限定) | 8,000万円超-1億円 | 1/2 |
補助対象経費も比較的幅広く取られています。
①建物費、建物改修費、設備費、システム購入費、外注費(加工、設計等)
②研修費(教育訓練費等)、技術導入費(知的財産権導入に係る経費)
③広告宣伝費・販売促進費(広告作成、媒体掲載、展示会出展等)等
【注】 補助対象企業の従業員の人件費及び従業員の旅費は補助対象外です。
この事業再構築補助金に関しては別途の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
地方自治体の海外展開補助金
地方自治体も独自に海外展開に関する補助金を設定しています。
例えば、福岡県では「福岡県GFPグローバル産地づくり推進事業」として、海外への食品輸出や海外での生産体制確立を支援する補助金を設定しています。
補助金の上限は700万円で補助対象経費は「謝金、旅費、宿泊費、賃金、会場借料、調査費、委託費、機材使用料、資料購入費、通信・運搬費、資料印刷・製本費、消耗品費」などとこちらも幅広いです。
この他にも自治体ごとに海外展開をするための補助金を設定していることが多々あるので、本店を構えている自治体のホームページを是非覗いてみましょう。
あるいは、補助金ポータルなどから検索して補助金を探すこともできます。