会計士の藤井です。
コロナの影響で中小企業が廃業に追い込まれたり、事業を売りに出すなどして、今まででは買えないような会社が買える機会が出てきているようです。
その流れで、M&Aのための資金を調達するために融資を受けたいという相談が最近増えております。
そこで、本日は買収資金を融資で賄う方法についていくつか注意点をお伝えしていきます。
酒蔵を買収するのに融資を受けたい
買収したい企業があるけども手元資金に乏しい
本日はこのような疑問にお答えします。
買収企業の業績は良いですか?
まず確認したい点が、買収をしようとする企業の業績がしっかりしているか、という点です。
特に年商は重要な指標で、年商を大幅に超える買収額(≒融資額)の場合、どのようにして借入金の返済を行っていくかが不透明になります。
そうなると、融資担当者としても貸しにくい案件という烙印を押されてしまい、融資が実行されない可能性が高まります。
とはいっても、いきなり業績を良くすることはできないので、買収後のストーリーをより良く、より精度が高いものにしていくしかないです。
具体的には、対象企業を買収することでシナジーが生まれ、より売上や利益が上がっていくことを財務計画を元に説明するやり方があります。
例えば、飲食店が酒蔵を買収するケースを考えてみましょう。
酒蔵を買収して独自の日本酒を開発すれば、そのお酒は居酒屋の看板メニューとなり、居酒屋の売上が伸びるかもしれません。
あるいは、酒蔵を観光に耐えるように整えたうえで、居酒屋のお客様を酒蔵に送客すれば酒蔵の売上もアップすることでしょう。
このように2つの企業が一緒になることでシナジーが生まれ、売上や利益の向上につながるのであれば、融資担当者もその点を評価してくれます。
買収対象企業の財務体力はありますか?
もう一つの視点として「買収対象企業の財務体力があるか」というものがあります。
というのも、買収企業に体力がなくても、買収される企業がキャッシュリッチであれば、その資金を返済原資に回せるからです。
買収対象企業の資産やキャッシュフローを担保として借入を行ない、その資金で買収を行う手法をLeveraged Buyout(通称LBO)といいます。
LBOはスキームが複雑ですし、基本的に投資目的で行われることが多いので、中小企業には一般的ではありません。
ただ、買収目的の融資においては、買収対象企業の業績や財務内容についても基本的にチェックが入りますので、買収対象企業とのシナジーがあれば何でも良いというわけではありません。
特に、コロナ禍の現在においては、バランスシートを毀損している企業も増えていて、実質的には救済のための買収であるとか、再生案件とみなされることもありますので要注意です。