会計士の藤井です。

日々融資支援を行う中で痛感するのが、日本では一度失敗してしまうと再起を図るのが非常に難しい国なんだということ。

特に一度破産手続きをしてしまうと、金融機関から融資を受けることが絶望的に困難となり、再起を図るのが難しくなってしまいます。

もちろん、破産したからといって再起が不能ということはなく、元グッドウイルの折口氏のように再起を果たすケースもあります。

しかし、失敗歴がつくと極端に冷遇されてしまう日本では、なるべく大きな失敗は避けるようにしたほうが賢明です。

当記事では、そもそも倒産や破産とは何か、破産しないための方法について解説していきたいと思います。

倒産の種類について知りたい
破産しても融資は受けられるのか知りたい

本日はこのような疑問にお答えします。

倒産や破産とは何か

倒産を簡単に定義するならば「現預金が不足して債務が返済できる、弁済不能状態に陥ること」を指します。

よくニュースで「倒産」という言葉を目にしますが、この言葉は正確には法律用語ではありません。

より正確には「倒産」の状況に陥った会社が取り得る選択肢として大きく「法的整理」と「私的整理」に大別されます。

さらに「法的整理」の中にも企業を清算する「破産」「特別清算」と企業が存続する再建型の「民事再生」「会社更生」の4つがあって、少しややこしいです。

この中で中小企業に関係してくるのが「破産」と「民事再生」ですが、この違いは会社を消滅させて残余財産の分配を行うか、会社を残して事業再生を行いながら債務の返済を行うかです。

ただし、破産や民事再生は債権者だけでなく取引先や従業員等に対する影響も大きいため、まずは私的整理(任意整理)を行って債務者と債務免除や支払猶予の交渉を行うことになるでしょう。

破産すると融資は受けられないのか

すでに破産かそれに準ずる経験がある方から「それでも融資を受けられるのか」という問い合わせを受けることがあります。

この点について、例えば日本政策金融公庫には「再挑戦支援資金」という融資メニューがあり、一度廃業等に追い込まれたものの再度チャレンジしたい方には融資の道が開けているように見えます。

とはいえ、実際のところはかなり茨の道であると言えそうです。

というのも、特に破産していたり、以前の事業で公庫から借りていて貸し倒れがある方が再挑戦支援資金に申し込もうとした場合、信用力が足りないとして否決される恐れがあるためです。

そのような方の場合、当該融資を申し込むにあたって自己資金を多めに積んでいたり、再起した会社の業績が良い場合は融資の可能性は上がります。

ただ単に再チャレンジしたいからといって再挑戦支援資金に申し込んだとしても、すんなり通る可能性は低いと考えております。

やはり、一度は毀損した信用をカバーするだけのもの(資金や利益)が裏付けに必要であると考えています。

資金繰りの技術を磨こう

ここまで万が一破産などを経験した場合の資金調達方法について見てきましたが、一度破産すると日本では極度に冷遇され、再起に時間がかかることになってしまいます。

そのような事態を避けるためにも、全ての中小企業の経営者は「資金繰りの技術」を習得しておくことをお勧めします。

では肝心の「資金繰りの技術」とは何かというと、端的にいえば「利益」ではなく「キャッシュフロー」を管理するということです。

利益とは要するに「売上-費用」であり「収入-支出」ではないことに注意が必要です。

というのも、売上の中には売掛金のように収入が入ってきていないものもあれば、費用の中にも買掛金のように支出になっていないものもあり、売上と費用の全てが現預金の動きと連動している訳ではないからです。

ここらへんが資金繰りの非常に厄介なところで、よくある過ちとして「売上」が上がったのに気を良くして「支出」を増やすと、すぐに資金繰りに窮してしまうことになるのです。

なので、基本的な考え方としては売上ではなく「収入」をいかに早く回収するか、同時に費用ではなく「支出」をいかに遅く払うかが勝負となります。

この辺のキャッシュフロー経営については別記事でまとめましたので、併せて目を通すと御社の資金繰り力がアップすること請け合いです。是非ご覧ください。