会計士の藤井です。

弊社には、コロナ禍においても創業したり、新規事業を始めたいという相談が多く届いております。

その中には、コロナだから需要が増えている分野での起業もあれば、コロナ禍でも利益が出ていて、他社が足踏みをしているこの機会に攻めに出る会社もあります。

ただ、新規事業で融資を受ける際には、既存事業で融資を受ける場合と少し思考を変える必要があるんです。

今回は新規事業で融資を受ける場合の留意点及び融資担当者へのアピール方法について解説していきます。

新規事業を始めたいけど資金が足りない
既存事業向けの融資を融資担当者にどう説明すればよいか分からない

本日はこのような疑問にお答えします。

なぜ勝てるのかの根拠を考える

まずもって大事なことは、新規事業がなぜうまくいくかを説明できるようにすることです。

新規事業向けの融資は「創業融資」と近しいものがあります。

というのも、銀行からの目線としては、新しいビジネスを立ち上げるという意味では同じだからです。

創業融資においては、ビジネスの将来性に関して、あらゆる側面から説明を尽くすことが求められます。

そのため、新規事業向けの融資においても、創業融資と同じレベル感での事業説明及び資料の作りこみが求められます。

具体的には以下の視点から新規事業を分析しておくとよいでしょう。

  • 商品やサービスの概要
  • セールスポイント(自社の強み)
  • 集客戦略とターゲット
  • 競合の状況とその差別化
  • 市場の状況と将来予測
  • 必要資金と資金使途

緻密なシミュレーションを作る

新規事業の事業戦略が言語化できたところで、今後は新規事業を「数値化」することも非常に重要です。

融資担当者の目線として、新規事業がどれだけ儲かるか分かったとしても、それだけでは資金を出すに値しないと思います。

その新規事業から実際にどれくらいの利益が出て、返済原資はどれくらい作れるのか、これを数字で示して初めて新規事業に説得力が出てきます。

そこで、新規事業だけの予想損益計算書を2-3期分ほど作成して銀行に提出することをおすすめします。

既存事業とのシナジーも考慮する

新規事業向け融資特有の論点として「既存事業とのシナジーがあるか」という点もあります。

というのも、新規事業を全くのゼロから立ち上げるのと、既存事業となんらかの関連性や相互補完性(シナジー)がある方が立ち上がりの速度が違うからです。

創業融資の場合は全くのゼロから立ち上げるので、特に集客や顧客獲得について融資担当者から鋭い指摘が入ることでしょう。

しかし、会社を立ち上げて次に新規事業を行う場合は、既存事業で得た顧客リストが活用できたり、経営リソースを共有することでコストが削減できたりと、何かと有利な立ち位置にあります。

そのため、新規事業向け融資にあたっては、既存事業から得られるメリットを存分にアピールすることで、新規事業が上手くいく確率が高いと思ってもらえます。

なお、既存事業と新規事業のシナジーについては以下が考えられるので、参考にしてみてください。

  • 既存顧客へのクロスセル
  • 既存事業で得た営業リストの活用
  • 既存事業での評判や口コミ
  • 経営リソース(資産・人材など)の共有
  • 物流網の活用 etc