会計士の藤井です。

国内において近年ではM&Aというものが当たり前になってきました。

コロナ禍において事業継続を断念し、他社に引き継いでほしいという方もいれば、コロナ特需で売上が伸びているうちに資本力のある企業の傘下に入りたいという方もいるでしょう。

そこで、今回は会社を売りたいと考えている中小企業の社長様に向けて、会社を最高値で売る方法について解説していきます。

後継者がいないので、他社に会社を引き継いでほしい
会社が伸びているうちに大手企業の傘下に入りたい

本日はこのような疑問にお答えします。

高値で売れる会社には特徴がある

事業承継支援をして思うのは、高値で引継ぎができる会社にはある程度の共通点があるということです。

というのも、会社といえどもその価格には需給があり、買い手からみて魅力的であれば売却価格は上がりますし、魅力がないと思われたら買い叩かれるか、あるいはそもそも検討の俎上に乗らないこともありえます。

そのため、高値で引継ぎをしたいと思うのであれば、買い手が魅力的に思うように会社を整備し、磨きあげることが必要になってくるのです。

そこで、買い手から見て魅力的に思うような会社の特徴をいくつか挙げてみます。

直近の業績が右肩上がりか安定している

まず、誰から見ても買い手が欲しいと思う会社の特徴は「業績が好調」であることです。

これに関しては説明は不要ですね。
業績が好調で、将来さらに伸びそうであれば、買い手は高値を出しても買いたいと思うことでしょう。

では具体的に業績が良いとは何を指すかというと、「事業から得られるキャッシュフローが多い」ということに尽きます。

ここでいうキャッシュフローとは営業キャッシュフロー(営業CF)のことで、やり方は色々ありますが下記の算式で求めることが多いです。

営業CF=経常利益+減価償却費-税金

中小企業の場合、自分で役員報酬を決めれることから、営業CFに役員報酬を足し戻すこともある。

この営業CFはフリーキャッシュフロー(FCF)とも言われ、自由に使える現金がどれくらいあるかを示すものです。

当然ながら、キャッシュフローが多ければ多いほど経営戦略の選択肢が増えるので買い手は魅力的に感じます。

また、業績が右肩上がりではなくとも、業績が安定しているだけでも買い手にとっては相当な魅力に映ります。

その理由は「引継ぎ後の事業計画が立てやすい」からですね。

業績が右肩上がりでも、月次の売り上げが不安定であれば、資金繰りのコントロールをするのが難しくなりますし、人材も採用しにくくなります。

一方、月額サービスなどで毎月安定的な売り上げを上げていれば、人員計画を含む投資計画を立てやすいので買い手としても将来の絵を描きやすいです。

圧倒的な強みを持っている

高値で売れる会社の次の特徴は「圧倒的な強みを持っている」ことです。

これも直感的に分かりやすい理由ですよね。
その会社が独自に持つような強みがあれば、特に異業種や隣接業種の買い手からは魅力的に映ることでしょう。

それでは「圧倒的な強み」とはどういうものか、具体例を以下に挙げてみました。

  • 商品の品質が高い
  • 熟練の製造ノウハウがある
  • 大手企業との取引がある
  • 非常に多くの顧客を抱えている

これらの強みがあると、その業界に参入したいと思っている異業種企業や隣接業種企業は引継ぎ後もビジネスを伸ばせるイメージが湧きます。

結果として、高値を払ってでも引き継ぎたいと思うはずです。

買い手のニーズに合う会社

一方で、業績が芳しくなかったり、特段の強みがない会社でも比較的高値で買ってもらえることがります。

それが「買い手のニーズに合う会社」です。
というのも、買い手としても引き継ぎたい会社の像がある程度明確になっており、その像に近い会社は例え業績が良くなくても欲しいと思われます。

買い手のニーズに合う会社とはどんな会社かというと、よくあるのは「営業エリアの拡大」と「マーケットシェアの拡大」に寄与する会社です。

現在の日本の流れとして、少子高齢化によって働き手が減少しているという現状があります。

その中でも人材を確保し、事業を継続・拡大していくには、同業者を買収して規模を拡大するか、あるいは他地域の会社と合併して営業エリアを拡大するなどの方策が有効です。

そのため、独自の強みがなくても、規模を拡大して経営を安定化させるという意味で、買い手のニーズに合った企業は多少高くてもM&Aが成立することになります。