跡継ぎ社長・ベンチャー社長を支援する財務戦略会計士の藤井です。

突然ですが、財務戦略を立案する時に最も基本的かつ重要なことがあるのですが、それは何でしょうか?

正解は…
「資金繰り計画を立てる」ということですね。

しかし、ここまで重要であるにも関わらず、体感値で95%以上の中小企業は資金繰り計画を立てていません。

それは、カーナビなしで遠方へのドライブ旅行をするようなものです。

本日は資金繰り計画がなぜ重要か、資金繰り計画があると何が実現可能になるのか、などを滔々と語る回にしたいです。

それではどうぞ。

資金繰り計画の重要性

結論から言うとこうです。

現預金残高の将来予測をしていかないと、大きな投資も経営意思決定も精度高くできないでしょう。

特に中小企業において生命線となるのは「利益額」ではなく「現預金残高」です。

現預金残高の分だけ「経営の打ち手を捻り出す」ことができます。

借入がいくらあろうとも、現預金残高が1億円あればかなり多くの経営改善策を打つことができます。

例えば、比較的うまくいっている事業があれば、広告予算を増やすことによって、さらに売上収入が加速するかもしれません。

あるいは、うまくいっていない事業があれば、事業のキーパーソンを数名雇って、てこ入れを行うことだってできます。

しかし、現預金が底をついてしまえば企業は何もすることができません。

さらに、現預金が底をついている企業に銀行が融資する可能性はかなり低いです。

前の記事でもお伝えしましたが、逆説的にも銀行融資はお金がない時ではなく、お金がある時に打診するのが吉ということです。

お金がないからお金を借りようとしているのに、理屈で考えたら大変おかしな話ではありますが、ともかく銀行はそのような考え方を持っています。

「現預金残高=打ち手の数」です。
その打ち手の数を管理するのが資金繰り計画表ということなのです。

事業承継でも重要な資金繰り

事業承継においては事業承継計画が大事だと言われます。

確かに大事なのですが、事業の引継ぎや後継者の育成といった点に気を取られて、財務という視点をお忘れではないでしょうか。

例えば内部承継であれば、自社株対策で株価を下げようにも、往々にしてキャッシュが必要だったりします(退職金の支払や保険・不動産購入など)。

自社株対策はあるときにまとまった現預金が必要なので、現預金残高がない企業は自社株対策をするのが難しくなります。

このように、事業承継をしようと思ったらまずやるべきなのが資金繰り計画の策定でありまして、財務戦略は資金繰りに従うということが言えるわけです。