ベンチャー社長・2代目社長向け財務戦略会計士の藤井です。

財務体質の改善は中小企業には永遠について回るテーマであります。

ベンチャー企業においては目下の銀行融資を獲得するために財務体質を改善する必要があるでしょう。

また、2代目社長の観点からは、事業承継にあたって財務の総点検を行うという意味でも必須の事項となっています。

しかしながら多くの中小企業経営者は、どのようにして財務体質を改善すればよいか分かっていないだけでなく、そもそも財務とはなんぞや、というレベルだったります。

そこで今回は、中小企業経営者に向けた財務体質改善の本質について思うところをお届けしていきます。

財務体質を改善して銀行融資を獲得したい
事業承継に向けて財務の総点検を行いたい

本日はこのような疑問にお答えしていきます。

財務体質改善の本質とは?

財務体質の改善は一言でいうならば「貸借対照表の改善」に帰結します。

多くの中小企業経営者が大好きな損益計算書を改善するという話もあるのですが、対症療法的で根本から財務にメスを入れることには繋がりません。

一方、貸借対照表は企業の資産・負債・資本が記載されている書類ですが、ここには経営者の財務能力が如実に表れるんですよね。

堅実な経営者であれば、多くの現預金残高に加えて収益を生む固定資産(設備や不動産)が載ってくるでしょう。

他方、浪費好きな経営者のバランスシートには趣味の高級車や他社への貸付金・出資金などが計上されているはずです(これが一概にダメとは言っていません)。

負債側を見ても、財務強者は長期の借入金が計上されている一方で、財務リテラシーのない経営者の負債項目は流動負債で埋め尽くされています。

結果として、財務強者の資本にはプラスの繰越利益剰余金が計上され、そうでない経営者はマイナスの繰越利益剰余金が計上されているはずです。

このように、貸借対照表を見れば、経営者の財務リテラシーが一目瞭然です。

では、どのようにしてバランスシートを改善していくか、というと2つの視点があります。

具体的には「資産流動化」「負債長期化」の2つです。
以後、詳しく解説していきます。

資産流動化の方法

資産流動化とは、固定資産よりもできるだけ流動資産で資産を保有した方が良いという考え方です。

全ての資産は最終的に現預金(キャッシュ)に換わり、現預金を再投資することで利益を生み出すことで会社が大きくなっていくという経過をたどります。

であるならば、資産項目の中で最も汎用性が高く優れているのは現預金であり、現預金への換金性が高ければ高いほど財務体質が優れていると言えます。

ここで、御社のバランスシートをもう一度見返してみてください。

売掛金や受取手形などの流動資産と不動産や貸付金などの固定資産ではどちらの方が換金性が高いでしょうか。

どのような手段をもってしても、流動資産の方がキャッシュに換えられる可能性が圧倒的に高いはずです。

つまり、財務体質を高めるにはいつでもキャッシュに換えられる体制を作っておくこと、これが重要になります。

負債長期化の方法

一方負債項目に関しては資産と考え方が正反対になります。

負債は将来へのツケになりますので、キャッシュフロー経営の観点からはできるだけ返済が遅い方が望ましいです。

例えば、返済期間の短い短期借入金よりも、長期借入金の方が財務的には評価が高いということです。

しかし、負債の長期化には一つの壁があります。それが信用の壁というものです。

御社にとっての負債は貸している側からすれば資産になりますよね。

であるならば、貸している側は一日でも早く資金を回収したいと思っています。

それでも、回収を長期間で待てるということは、御社に信用と支払い能力があるということに他なりません。

あるいは、他の機関が支払保証をしてくれるので、長期負債にできるというケースもあるかもしれません。

いずれにしても御社になんらかの信用がないと負債を長期化できないので、そこには一つのハードルが存在します。

番外編:負債はゼロにすべきか?

なお、負債長期化ではなく「そもそも負債を0にした方がより良いのではないか」という質問を受けることもあります。

これに関しては業種や業態による、という答えになります。

というのも、我々のような士業においては設備投資が不要であるため、借入などの負債がないことも珍しくはありません。

しかし、このような業種はまれですし、普通の会社なら先に資金調達を行って投資を行うのが当たり前に行われています。

であるならば、負債をなくす努力をするのではなく、なるべく負債の支払いを遅らせる努力をした方が良いと思うのです。

企業が負債だけ抱え込むことは基本的に有り得ません。

その対価としてなんらかの資産は計上されるわけで、その資産を有効活用して(ココ重要)収益を生み出せば問題ないのです。