会計士の藤井です。
変異株が世界各国で猛威を奮っており、いわゆるウィズコロナ経済が長期化する可能性が出てきています。
そうなれば、中小企業の中には資金繰りが悪化して追加の銀行融資を受けなければならない企業も出てくるでしょう。
今年に入ってから相談を受ける内容として「2回目のコロナ融資はできるのか?」というものが多いです。
そこで、本日はこのコロナ融資のおかわりができるかどうかについて、思うところを書いていきたいと思います。
昨年コロナ融資を受けたが、また資金繰りが苦しくなってきた
2回目のコロナ追加融資が受けれるか知りたい
本日はこのような疑問にお答えしていきます。
コロナ融資の現状
結論から言うと「2回目のコロナ融資を受けることは可能」ですが、金融機関によって多少態度が違ってきます。
追加融資の話の前に、今の現状について軽くおさらいしておきましょう。
このブログを執筆している2021年GW現在、上述した日本政策金融公庫や商工中金では未だコロナ融資制度が継続しています。
一方で、民間金融機関の信用保証協会付き融資は今年の3/31をもって制度が終了しているので注意が必要です。
政府系金融機関の動向
政府系金融機関の日本政策金融公庫や商工中金においては、引き続きコロナ融資を利用することが可能です。
2021年5月現在の融資条件等は以下となっています。
項目 | 内容 |
---|---|
無利子融資限度額 | 6,000万円 |
返済期間 | 15年以内 (据置期間 5年以内) |
利率 | 売上減少基準を満たすことで当初3年間は無利子 |
保証料率 | 売上減少基準を満たすことで全額補助 |
連帯保証 | 原則代表者のみ 一定要件下で経営者保証の免除が可能 |
コロナ融資での融資限度額及び無利子融資限度額は昨年の制度開始から何度かアップデートがなされて枠も増額されてきました。
現在はコロナ融資のうち6,000万円までは当初3年間の利子が-0.9%になった上で、売上減少要件を満たしている会社はさらに残っている有利子分の3年分の金額が利子補給されることで実質無利子となります。
この制度には別枠融資や利子補給というメリットがある一方で、いくつか注意すべき点もあります。
まず、融資額です。
運転資金の場合受けられる金額は月商や販管費の数ヶ月分と言われており、思ったより融資額が伸びてこない可能性もあります。
新型コロナ「特別」貸付というだけあって、緊急事態時の融資という性格を帯びているのがこのコロナ融資ということになります。
私のクライアントにおいても、一定の割合でコロナ融資額の減額をされた会社がありましたね。
また、そもそもコロナ融資に該当するかにおいても、制度趣旨から外れていないかのチェックをされることがあります。
そもそもコロナ融資とは「新型コロナウイルス」が原因で売上の減少に晒されている会社に便宜を図る融資です。
であるからにして、売上減少が新型コロナでない場合は、そもそもコロナ融資に該当しないとみなされることもあります。
私の経験上、公庫は形式的に売上減少という形式要件で判定することが多い一方、商工中金は比較的厳格にコロナ融資の可否を判定してくるイメージです。
民間金融機関はどうか?
一方で、民間金融機関におけるコロナ融資は基本的に3/31で終了しています。
こちらに関しては、各都道府県にある信用保証協会がいわゆる新型コロナ保証を3/31で終了してしまったためですね。
さらに悪いことに、2021年5月現在、信用保証協会は昨年融資を受けた会社の追加融資に関する保証に消極的な傾向にあります。
私が聞いている情報によれば、昨年圧倒的な量のコロナ融資について保証をしており、すでに貸し倒れ(代位弁済)の兆候がある会社もそれなりに出てきているので、2回目の保証に慎重になっているとのこと。
実際に私のクライアントでも、民間金融機関から追加融資を受ける際に、銀行側は融資にノリノリだったものの、信用保証協会の審査でNGを受けるケースもありました。
プロパー融資を受けられる会社であれば銀行次第で全てが決まるので問題ありませんが、保証協会付き融資を受ける会社は信用保証協会の対策が必要となります。
追加融資を受けるには?
このような現況の中で追加融資を受けるにはどうすれば良いでしょうか?
いくつか留意すべき事項を解説しましたので、追加融資を受けたい方は是非チェックしてみてください。
正当な資金使途があること
私が考えるに、この資金使途が1番重要です。
そもそも1年前にコロナ融資を受けておいて今なぜ追加融資が必要なのか?追加融資が必要として何にお金を使うのか?
この質問に対して明快な答えがない限り、追加融資を受けるのは難しいでしょう。
回答として、売上が減少してさらに資金繰りが厳しくなってきた、が1番ダメで、最低でもポジティブな理由が必要になります。
例えば業績がある程度保たれている上で「コロナ経済が長引くことが予想されるから今以上に現預金を厚めに持っておきたい」。
これが最低ラインだと考えてください。
「ポストコロナを鑑みて事業を再構築したいので資金が必要」
このような理由であれば、資金の使い道が良ければ銀行側としても追加融資を検討したくなるでしょう。
返済実績があること
第二に、1回目の融資を返済した実績が重要となってきます。
銀行としても、返済実績がないのにまたお金を貸すといったことは少々リスキーに映るからですね。
この点、コロナ融資においては利息だけ払っておけば良い据置期間を1年程度設定された企業が多いと思います。
そのため「まだコロナ融資の返済が始まってないよ」という企業が多いのではないでしょうか。
その場合は、最低でも半年は返済を行なって返済実績をつけておくのが良いと思いますが、そうは言っていられない会社もあるかもしれません。
その場合は次のポイントを参考にされてください。
業績が上がっていること
追加融資を受けるポイントとして3つ目はそもそもの業績が上がっていることです。
上記の返済実績がないパターンだったとすると、やはり業績に何らかの改善が見られることが必要に思います。
と言うのも、1回目の融資から業績がだだ下がりしている会社に対して追加融資を行うと意味は単なる「赤字の補填」でしかないからですね。
1回目のコロナ融資であれば赤字の補填はまだ社会的意義があったかもしれません。
ただ、こと追加融資となると、赤字の補填はやはり銀行的に厳しいものがあるので、そういった意味で業績改善が一つのポイントになります。
売上が上がっていると、それに応じて運転資金もより多く必要になっているので融資が必要、という理由づけができますから。
コロナ禍でしんどいとは思いますが、追加融資を受けたい会社様はぜひ食いしばって業績を改善させてから銀行に相談してみると良いと思います。