会計士の藤井です。

事業承継においては様々な専門家が関与して、中小企業経営者の事業承継を支援していることと思います。

そして、当然ながら専門家ごとに強みと弱みがあるので、企業としても専門家を使い分けているかもしれません。

そこで、本日は事業承継と言う文脈で我々会計士が発揮できる価値と果たす役割について思うところを書いていきたいと思います。

結論としては、会計士は「事業承継の全体を俯瞰して御社をより良い承継に導くことができる財務と経営改善の専門家」です。

周りに会計士が少なくて、どんな仕事をしているか分からない
事業承継で会計士が何をしてくれるのか知りたい

本日はこのような疑問にお答えしていきます。

事業承継支援のプレイヤー

事業承継支援における会計士の役割について考察する前に、そもそも事業承継支援にはどのような専門家がいるかおさらいしておきましょう。

  • 会計士
  • 税理士
  • 弁護士
  • 社労士
  • 司法書士
  • 中小企業診断士
  • 経営コンサルタント

以上が事業承継の主な専門家となります。

事業承継には様々な知識や経験が必要です。
その中でも特に重要なのが「ビジネス面」「財務面(税務含む)」「法務面」から事業承継をサポートしてくれる専門家の存在でしょう。

というのも、この3つの側面が成功裏に事業承継を完了させるための必須スキルだからです。

その観点からすると、専門家ごとにどうしても得意分野というものが出てきます。

ビジネス面:中小企業診断士、経営コンサルタント
財務面:会計士、税理士
法務面:弁護士、司法書士、社労士

このように各専門家の得意領域を大まかに理解しておくだけでも、専門家が実際に力を発揮できるかどうかが違ってきます。

会計士の強みと役割

事業承継の専門家を一通り網羅した上で、ここからはなぜ会計士が事業承継を支援するに最適なスキルを備えているか考察していきます。

事業承継の中核を占める財務の専門家

事業承継のプロセスにおいて、最も重要な要素の一つが「財務」です。

事業承継における財務は、事業承継の準備から第三者への引継ぎまで、事業承継の全てのプロセスにおいて必要とされてくるスキルです。

ここで、会計士は会計や財務の専門家として、数値面を切り口とした経営相談に日々応じています。

そのため、事業承継のある一部分ではなく、全体を俯瞰しながら効果的な助言や支援を受けることが期待できます。

財務だけでなくビジネスも分かる

会計士は何も財務の専門家だけに止まりません。御社のビジネスも分かるのが会計士の強みの一つです。

これはなぜかというと、大半の会計士が上場企業などの会計監査業務を通じて、企業の経営分析を行っているためです。

会計監査業務においては、数字のチェックを行っているだけだと思われがちですが、実は対象企業のビジネスを深く理解しないとできない業務です。

私も監査法人時代は10業種弱のクライアントを監査する機会に恵まれましたが、クライアントのビジネスを理解するために、業界の商習慣やビジネス慣行を徹底的に調べ尽くした経験があります。

このような経験があるために、クライアントの事業に対する飲み込みが非常に早くなりました。

次に述べる企業価値向上のためには、クライアントの事業理解が必須であり、その点で会計士は大きなアドバンテージを持っていると言えるでしょう。

企業価値を向上させるためのノウハウをもつ

会計士はM&A業界に多数在籍しており、御社の企業価値を高める方法を熟知している場合があります。

というのも、会計士は数値面やビジネスモデルの理解を起点として経営分析を行い、経営改善を行うことが他の士業と比べて得意だと思うからです。

こと事業承継M&Aにおいては、御社の企業価値を高めて、より高い売却価格を実現することが重要な課題となっています。

その課題をクリアするために、会計士は事業承継の準備段階で会社を整備するなどして、より高い事業価値を実現するための手助けを行います。

また、M&Aに熟知した会計士であれば、企業価値評価を適切に行うことができるのみならず、御社をできるだけ高い価格で他社に引き継ぐ方法についてもノウハウがあることでしょう。

そういった意味で「会計士は御社の事業承継の全体を管理して、より良い承継を実現する専門家」と言うことができると思います。