会計士の藤井です。

事業承継は政府の重点課題であり、事業の引継ぎを円滑化させるために政府が補助金を設けています。

それが事業承継補助金というものです。

もし、事業承継を行うだけでなく、承継後に新しい取り組みを行ってみたいという後継者や外部経営者の方がいれば、補助金が獲得できる可能性があります。

是非これから書くことを一読してみてください。

事業承継後に心機一転社内を一新したい
事業承継後に新規事業を立ち上げたい

本日はこのような疑問にお答えします。

そもそも補助金とは

事業承継補助金の解説に入る前に、そもそも補助金がどういうものか軽くおさらいしておきましょう。

補助金とは政府や自治体が政策を達成するために事業者に一部資金を補助する制度です。

そのため、日本の政策課題に対して補助金が設定されることが非常に多いです。

補助金の特徴としては4つあり、
・補助金は基本的に支出額の一部が補助される
・補助金は基本的に支出が先で数か月後に補助金が支給される
・全員が補助金をもらえる訳ではなく審査がある

毎年特定の補助金が展開される訳ではない

ここらへんが重要なポイントとなりそうです。特に重要なのが、2つ目の補助金支給タイミングです。

というのも、補助金が実際に入金されるのは、補助金採択を受けて補助事業の期間を経てさらに数か月後となるので、入金が採択から1年後というのはざらにあります。

なので、資金繰りを改善するために補助金を活用するというのは基本的に止めておいた方がよいです。むしろ、短期的には資金繰りが苦しくなります。

また、補助金には審査があります。
これは、政府等の政策目標に合致しているかどうかの審査で、補助金によって審査の厳しさは異なります。

去年の事例ですと「小規模事業者持続化補助金」や「IT導入補助金」は比較的採択率が高かった一方で、「ものづくり補助金」は採択率が低めです。

これらは国の補助金ですが、地方自治体も様々な補助金を出しているので、市町村区のホームページをチェックしてみるとよいでしょう。

事業承継補助金の概要

さて、本題の「事業承継補助金」ですが、2021年も引き続き補助事業が行われることが濃厚ですが、ここでは2020年の内容を解説します。

事業承継補助金とは、先代経営者がもつ事業を整理・統合して、新たな取り組みを行う企業をサポートする補助金です。

事業承継の分野では、何年も前から後継者不足が叫ばれていて、中小企業がそのまま廃業してしまうケースが後を絶ちません。

政府としてもこれ以上の廃業を回避して、後継企業には新しい取り組みによって日本経済を活性化してほしいとの思いから、事業承継補助金が誕生しました。

事業承継補助金の特徴として、親族内承継や外部承継のどちらにも対応しているということが挙げられます。

そのため、事業承継については幅広い企業が補助金の対象になります。

事業承継補助金には2種類ある

事業承継補助金には、承継の要件によって【I型】後継者承継支援型と【Ⅱ型】事業再編・事業統合支援型に分かれます。

【I型】は後継者が経営のバトンをタッチした後に、経営革新等に取り組む、または事業転換に挑戦する者を支援する類型です。

【Ⅱ型】は事業再編・事業統合等を契機として、経営革新や事業転換に挑戦する者を支援する類型です。

要するに、事業承継のタイプはどうあれ、新しい取り組みを行う企業を応援する補助金となっています。

さて、肝心の補助金額についてですが、以下のようになっています。

類型補助上限額補助率上乗せ額
【I型】後継者承継支援225万円1/2以内+225万円
(合計450万円)
【Ⅱ型】事業再編・事業統合支援型450万円1/2以内+450万円
(合計900万円)

後継者承継支援よりも事業再編・事業統合支援の方が補助額が大きくなっています。

また、2020年においては「ベンチャー型事業承継枠」と「生産性向上枠」というものがあり、一定の要件を満たせば補助上限や補助率が増加します。

類型補助上限額補助率上乗せ額
【I型】後継者承継支援型300万円2/3以内+300万円
(合計600万円)
【Ⅱ型】事業再編・事業統合支援型600万円2/3以内+600万円
(合計1,200万円)

このような特別枠はその年の政府の重点政策に沿って設けられることが多く、毎年変わることが往々にしてあるので、要注意です。