会計士の藤井です。

前回の記事で、組織の磨き上げについてお話をしました。

この組織の磨き上げに関連して、本日は海外子会社の磨き上げのお話をしたいと思います。

中小企業の中には、生産拠点として海外に工場があったり、販売拠点として海外に販路を開拓している企業もあるでしょう。

本日は、事業承継やM&Aを行ううえで、海外の組織をどのように管理していくかについていくつかテクニックをお伝えします。

海外子会社があるが、事業承継時にどうすべきか分からない
M&A時に海外の生産拠点のことをどう話すべきか悩んでいる

本日はこのような疑問にお答えします。

海外子会社の情報は集約できていますか?

まずもって確認したいことが、海外子会社の内容や法規制などに関して正確な情報を入手できているかどうかです。

海外子会社の資本構成や役員構成、または役員の業務上の役割など基本的な内容は整理しておきましょう。

また、現地でビジネスを行ううえで重要なのが法制度です。これらの法制度は国ごとによって全く異なりますので、思わぬ落とし穴になりがちです。

特に許認可や雇用関連でトラブルが発生するケースが多いので、信頼できる現地の弁護士などから最新の情報を入手しておくとよいでしょう。

海外子会社や海外工場の状況は把握できていますか?

次に、海外子会社や海外の工場の運営実態を確認します。

海外子会社では日本の本社からの目が届きにくいため、常に不正の温床にさらされています。

一例として、私服を肥やすために現預金や資産の流用、売上目標を達成するために売上の架空計上などが挙げられます。

私が住んでいたアジアでは帳簿が3つ(税務当局用、銀行用、親会社用)あると言われているくらいなので、どれが本当の数値か分からなかったりするものです。

そこで、事業承継の準備前から、日本本社へのレポーティングの質を上げてもらうことが重要となってきます。

例えばですが、実績数値は半期ごとではなく四半期や月次であげてもらうと、数値の変動が読み取れるので不正を発見しやすくなります。

一方、海外の工場に対しては、普段から品質維持改善の目的で日本人社員を派遣している会社も多いと思います。

こと事業承継やM&Aがなされた場合、資本関係に変動が生じるので、いままでの契約内容や取引条件がそのまま継続するのか確認は必要です。

特に、海外に生産の大半を委託している中小企業は、事業継続の観点からも海外協力工場などの関係維持は早めに行った方がよいでしょう。