会計士の藤井です。

前回の記事においては、事業の磨き上げについて解説してきました。

事業の磨き上げでは、主に経営戦略レベルで事業承継の見える化と磨き上げを行っていきます。

一方、日々の会社運営レベルでは、日常業務(オペレーション)の磨き上げも同時に行っていくことが望ましいです。

そこで、本日は事業承継の準備において必要になる日常業務の磨き上げについて解説します。

会社の重要なノウハウが一部の社員に偏っている
日々の業務が属人化しており、業務品質が上がらない

本日はこのような疑問にお答えします。

日常業務は属人化していませんか?

日常業務の磨き上げでまずもって大事なことが「日常業務の属人化をなくす」ことです。

というのも、中小企業の場合は業務上のノウハウが経営者や一部のエース社員に偏っていること非常に多いです。

事業承継をした場合、基本的に現経営者は一線から退くことになりますし、ノウハウを持っている社員もいつ辞めるか分からないので、適切にノウハウが継承されないおそれがあります。

このノウハウの属人化を排するためには、社員教育とセットで、ノウハウの文書化や動画化をすることが一案となります。

業種にもよりますが、日常業務の肝となるポイントを動画に残しておけば、M&A時にもアピール材料になりますし、後々社員が入ってきたときにも教育がしやすいというメリットがあります。

業務フローはありますか?

上記の業務ノウハウとセットで作成しておきたいのが「業務フロー」です。

業務フローとは、一連の業務の流れを図式化したものであり、「いつ、誰が、何を、どれだけする」のかがフローチャート化されたものになります。

業務フローに関しても、特にM&Aの時に威力を発揮することになります。というのも、買い手が御社の業務を理解するのに役立ちますので、M&A後の日常業務についてイメージが湧きます。

また、M&A後も承継先の社員が高い再現性で今の業務を難なくこなすことが可能になりますので、事業継続性の観点からも重要です。

何より、暗黙知的になされていた今のオペレーションを業務フローに落とし込むことで、チームみんなの共通理解が生まれ、より効率的な業務を推進することができるようにもなりますので、その点でも業務フローは有用です。

このようにノウハウを文書や動画としてコンテンツ化すること、業務フローを作成することは筋肉質な会社を作るうえで役立ちますので、是非検討してみてください。