2代目社長・ベンチャー社長向け財務戦略会計士の藤井です。
跡継ぎ社長が事業承継を行った後は、更なる成長を目指して新規事業を立ち上げたいと思うことでしょう。
特に今後市場が成長することが見込まれにくい業界(いわゆる斜陽産業)においては、新しい事業を模索することは半ば必須と思います。
しかし、いきなり新規事業をやるといっても良いビジネスアイデアが思い浮かばないことも多いのではないでしょうか。
本日は、跡継ぎ社長と日々新規事業を考えている私が、新規事業を考えるコツを少しだけお伝えしていこうと思います。
事業承継後の新規事業ネタが思いつかない
このままでは業績が下がる一方だ
本日はこのような疑問にお答えします。
跡継ぎ企業の新規事業の着眼点とは
跡継ぎ企業が新規事業を作るときの着眼点は以下2つです。
企業のミッションベースで着想する
企業の能力ベースで着想する
つまり、実現したいことベースで考えるかできるベースで考えるかの2つとなります。
1)ミッションベース
まずミッションベースですが、企業が実現したいことを抽象化して新規事業を着想することになります。
化粧品小売業の例でいくと、何のために化粧品を売っているのかを深堀りしていくことになります。
恐らく「お客様に美しくなってほしい」ということがミッションだと考えられるので、美しくなるための方法を他にも列挙してみます。
化粧品は外から美しくなるための手段ですが「中から美しくなる方法」だってありますよね。
例えば「健康食品や質の高い野菜・果物を販売」することで中から美しくなることができるでしょうし、同じ外からのアプローチでいえば、フィットネスジムも良いかもしれません。
美しくなるためのアプローチを複数持っておけば、商材の提案の幅は圧倒的に広がります。
化粧品で外から美しくなるだけでなく、健康的な身体作りによって中からも美しくなれるのでばっちりです、みたいな提案ができます。
このように、企業が実現したいミッションをベースとして、それを実現するための手段として新規事業を考えれば、どんどんアイデアが出てくることでしょう。
2)能力ベース
ミッションベースは企業のありたい姿から逆算して新規事業を着想する方法ですが、一つデメリットがあるとすれば、事業を遂行する能力が必ずしもあるとは限らないことです。
化粧品小売業がいきなりフィットネスジムをやろうにも業種間の差がありすぎて何から手を付ければよいか分からないことでしょう。
このため、ミッションベースの新規事業ではM&Aなど外部からノウハウ等を買ってくる手段を検討するのですが、自分たちに業務遂行能力があるのであれば能力ベースで新規事業を考えることもできます。
わかりやすい例でいくと、不動産管理業の会社が売買仲介もサービスラインナップに加えるというものがあります。
すでに不動産業界である程度の知識・経験を蓄えていれば、売買仲介業務を新規事業として始めるのはそこまで難しくないはずです。
また、隣接異業種に進出するというやり方もあります。
例えば、我々のような会計士や税理士が不動産業界で活動するというのもよくある話です。
特に不動産投資においては、融資を引けるかが非常に重要となってくるので、不動産の基本さえ勉強してしまえば、比較的算入しやすい領域となっています。
このように、自社がすでに持っている知識、経験、スキルなどを他の業界に転用することで素早い新規事業の立ち上げが可能になります。
ちなみに、ミッションベースでいくか、能力ベースで新規事業を立ち上げるかは企業の置かれている状況や後継社長のビジョンにかなり依存します。
望ましいのはどちらも検討してみて、より勝率が高そうな方で新規事業の着想をするのがおすすめです。