会計士の藤井です。

コロナ禍で海外に渡航するハードルが極めて上がっている現状ですが、海外事業を展開している会社は営業を続ける必要がありますし、これから海外に出たい会社もあることでしょう。

そこで、今回は国内の金融機関から海外事業向けの融資を引き出す方法について解説します。

国内は諸外国に比べて低金利なので、海外で調達するよりもかなり利息を抑えられるはずです。

海外事業の資金繰り改善のために融資を受けたい
これから海外事業をやるにあたって資金を獲得したい

本日はこのような疑問にお答えします。

海外事業用の事業計画を立てる

海外事業向けの融資を引くうえでまずやるべきことは「海外ビジネス用の事業計画を立てる」ことです。

難易度の高い海外ビジネスにおいて、計画なしで成功すると力説されても融資担当者はなかなか信頼できませんので、まずは事業プランを紙に落とし込みます。

肝心の事業計画書の内容ですが、普通の計画書に加えて以下を厚めに記載するとよいでしょう。

  • 法規制
  • 政治情勢
  • インフラ状況
  • 国民性
  • 販売戦略

この中でも特に重要なのが法規制と販売戦略です。
諸外国においては国内の産業を保護するために外資規制を敷いている国が大半ですが、御社のビジネスが進出国でできるのかの確認はまずやるべきです。

また、実際に進出できることが分かったとしても商材が売れなければ意味がありませんので、進出国での販売戦略をよくよく練る必要があります。

販売戦略については扱う商材によって異なると思いますが、一般的には信頼できる販売代理店と提携して彼らに売ってもらうことが多いと思います。

であるならば、当該販売代理店の評判や実力はしっかりと確認する必要があります。

また、飲食店などであれば店舗を構えることになりますので、出店エリアの特徴や競合の状況なども事細かに説明することになります。

これらの情報を収集するためには、現地のコンサルタントに市場調査を依頼することがまず考えられますが、最終的にはご自身で現地視察をしてみてビジネスの感を研ぎ澄ませることも重要です。

メガバンクに相談してみる

事業計画が完成したら、次は融資を申し込む銀行を選定するフェーズに入ります。

銀行といってもメガバンク、地方銀行、信用金庫などたくさんあるのですが、まずはメガバンクに相談に行くのがよいと考えています。

というのも、海外事業の投資はやはり多額になることが多いですので、融資の上限額が大きいメガバンクがその点では有利になると思います。

また、メガバンクは世界各国に支店があるので、進出した後も当該進出国で事業のサポートをしてくれることが期待されます。

一方、海外投資額が比較的少額であれば、地方銀行に当たるというのも一案です。彼らも次の収益源を探しており、親身に話を聞いてくれるはずです。

公庫の海外展開資金を活用する

上述の民間金融機関の他に政府系金融機関も海外展開資金の手当てをしてくれます。

例えば、日本政策金融公庫では「海外展開・事業再編資金」という融資メニューがあり、国民生活事業であれば最大7,200万円まで融資が受けられます。

また、設備投資向けの融資であれば返済期間も20年と比較的長めにとることが可能ですし、利率も0.8-1.55%と安めであることが特徴です。

海外展開向けの資金調達においても、どこか一行に頼るよりも、複数行から調達しておけば、お互いの金融機関に牽制が効いてよりよい融資条件を得られる可能性が高まりますのでお勧めです。