会計士の藤井です。

新型コロナウイルスの影響により、厳しい資金繰りに直面している中小企業の方もたくさんいらっしゃると思います。

国からも多くの支援メニューが出ていますが、あまりの需要の多さに金融機関がパンクしているところも多いと聞きます。

ご存知ない方も多いと思いますが、日本政策金融公庫は一度融資を断られてしまうと、少なくとも6ヶ月は再度融資を申し込むことができません。

なので、「公庫での融資は一発勝負」と考えておいた方が良いです。

そこで、本日は公庫の融資を引き出すための3要素について解説してみます。

「融資担当者が気にしているポイントを知りたい」
「資金繰りが厳しいので確実に融資を通したい」

このような課題意識をお持ちであるあなたの疑問にお答えします。
3分で読めますので暫しお付き合いください。

日本政策金融公庫とは

日本政策金融公庫(以下、公庫)とは財務省が管轄している政府系金融機関の一つです。

市中銀行など⺠間金融機関を補完することを目的として設立され、大企業以外の融資を担っています。

個人事業主や小規模事業を対象とした国⺠生活事業、中小企業を対象とした中小企業事業がありますが、ほとんどの中小企業は国民生活事業にお世話になることでしょう。

融資を受けるポイントの前に…

公庫の概要を掴んだところで、早速融資を受けるポイントについてお伝えしていきます…と言いたいところなのですが、その前に最も重要なことをお伝えします。

自己破産をしていたり、税金や借入金の滞納がありませんか?

残念ながら、上記に当てはまる方は融資を受けることが99%できません。

というのも、日本政策金融公庫は国の機関ですから、国民としての義務を果たしていない方には非常に厳しいのです。

法人だと以下のような項目を滞納しているとレッドカードと言われています。

  • 法人税
  • 消費税
  • 源泉所得税
  • 社会保険

また、公庫は借入時に個人の信用情報(CIC)を取るので、以下のような項目を滞納していると融資審査が非常に厳しくなってしまいます。

  • 公共料金
  • 携帯電話料金
  • ローン
  • 借入金 etc

そのため、融資を申し込むまでに上記の滞納は解消して、綺麗な状況にしておくことが肝要です。

滞納を解消した上で、早速融資を受けるポイントの解説に入っていきましょう。

ポイント1:経営者の資質

私が1番重要だと思うのが経営者の資質です。

経営者の資質とは、要するに会社を継続的に発展させられる能力があるか、もっと言うと「儲けられるか」ということですね。

ただ、公庫の融資担当者はキレキレの投資家みたいに、儲かるビジネスを必ずしも選別できるわけではありません。むしろ、最新のビジネスになればなるほど疎い印象があります。

そのような状況でどうやって経営者の資質を判断するかというと「過去の経験と経験年数」です。

つまりは、今やっている事業と過去の経験がなるべく関連していて、かつ、その経験年数が長いほど成功する確率が高いと判断するようです。

また、会社をやっていく上で顧客の獲得は不可欠であるため「社長の営業能力」もチェックされます。

営業能力は融資面談での会話の中で、営業ができそうな社長かどうか評価します。

ポイント2:商品・サービスの魅力

次に大事であるのが「商品・サービスの魅力」です。

どれだけ経営能力のある社長であったとしても、肝心の商品力が優れていないとビジネスはおぼつきません。

実際、公庫から提出が求められる「創業計画書」や「事業計画書」の1/4は商品・サービスの説明になっています。

商品・サービスのアピールにおいては、まず「誰に何をどのように」売るかを明確にしましょう。

その上で、「客単価と商材の特徴やセールスポイント」を分かりやすく記載することで、融資担当者が商材を具体的にイメージでき、その結果ビジネスがうまくいきそうな印象を与えることができます。

ポイント3:収支見通し

最後のポイントとして「収支見通し」があります。

つまりはビジネスの結果が具体的に数字として表現できているか、ということに尽きます。

ここでのポイントは「資金使途」とその結果としての「業績推移・資金繰り」です。

まず、資金使途に関してですが、仮に融資を受けたとしてその資金を何に使うかが非常に重要です。

というのも、公庫を含めた金融機関は事業の拡大に融資をして、利益を原資として返済をしてもらうのが基本だからです。

ビジネスを拡大するために、何にお金を使うのか明確にしておきましょう。

さらにいうと、資金使途と共に、将来の業績推移や資金繰り計画を提出できるとかなり融資担当者からの評価が上がります。

やはり、数字の力は絶大です。
どれだけ薔薇色の将来を語ったとしても、現実的に数字に落とし込まれていなければ、将来計画について納得させるのは難しいことでしょう。