会計士の藤井です。
コロナ禍は終わりが見えず、多くの企業が資金繰りの改善に躍起になっていると思います。
しかし、この資金繰りの改善は何も現預金残高が適正になって倒産から逃れられるというレベルのものはありません。
資金繰りを改善することは企業の利益向上に資するものであると最近感じることが多くなってきました。
本日は、「資金繰り改善=利益アップ」の公式について思うところを書いていきます。
気がつけば支払利息がかなり膨らんでいる
資金調達にかかる費用を削減したい
本日はこのような疑問にお答えしていきます。
なぜ資金繰りを改善すると利益も上がるのか
資金繰りはバランスシート(貸借対照表)の話であって、利益とは何の関係もないじゃないかと思う方が多いと思います。
私も資金繰りの専門家として活動した当初は、両者には何の関連性もないと思っていました。
しかし、支援を進めていくにつれて、資金繰りの改善こそが利益に直結すると感じるようになってきたのです。
主な理由を2つにまとめます。
資金繰りの改善=資金調達コストの削減
まず、資金繰りの適正化は資金調達コストの削減に寄与します。
この話はファクタリングの記事でも少し話したのですが、資金繰りが厳しくなればなるほど、高い手数料を払って資金繰り不安を解消しなければなりません。
例えばファクタリングが良い例で、最短即日で資金が入金される可能性がある一方で、手数料は月利1-20%と、銀行融資と比べても高い手数料となっています。
つまり、資金繰り政策をミスると、そのツケとして高い手数料が跳ね返ってくるのです。
これは企業に限らず個人でも同じです。
要するにリスクの高い(資金繰りが上手くいっていない)貸出先に対して、貸し手はリスクプレミアムを乗せて手数料を取らざるを得ないので、結果として資金調達コストが高くついてしまいます。
一方で、資金繰り政策に対して常に適切に対処しておけば、貸しても比較的安心して貸し出すことができるので、資金調達コストは低く抑えることが可能です。
この資金調達コストの低減は、そのまま「経常利益の増加」に直結します。
資金繰りの改善=投資機会の増加
もう一つの観点として投資機会の増加が挙げられます。
そもそもビジネスを単純化すると「何らかの投資を行って投資を回収することで利益を上げる」ものになります。
これは、初期投資が要らないような士業においても労働力=投資という意味で同じようなルールに則っています。
ここで、資金繰りをミスって資金がない状態だと事業に投資することができず、結果として生めるはずの収益を生むことができなくなってしまいます。
一方で、資金繰りを改善してお金がたくさんある状態はどうでしょうか?
お金がないとできなかった投資が大胆に実行できるため、結果として収益獲得の可能性が高まるはずです。
もちろん、事業に投資したから収益が必ず出るとは限らないのですが、お金がなくて事業に投資できなかったら事業は伸びないことは確かでしょう。
そういった意味で、常に余裕資金を持っておくことは、取れるチャンスを最大限ものにして、事業を成長させていく上で不可欠と言えるでしょう。
Cash is King
以上を踏まえて「Cash is King」なのだと思うことが本当にたくさんあります。
本質的には、資金繰りを単なるバランスシートの問題と捉えないで「事業全体をうまく回していくための血液」と捉える方がより適切だと感じます。