会計士の藤井です。

融資を受けるにあたって、自社の商材や事業の想いについて融資担当者に対して熱く語ることがあるかと思います。

もちろん、融資担当者も人間なので、経営者のビジョンに共感できた場合には融資を通すべく良い稟議書を書き上げてくれることが期待されます。

一方で、そのようなロマン100%で面談に臨んでも、望んだ通りの融資が受けられないことが多々あります。

なぜでしょうか?
本日は、融資を受けるにあたってもつべきロマンとソロバンのバランスについてお話していきたいと思います。

商品のことを熱く語っても担当者が共感してくれない
担当者が自社の革新的な技術を理解してくれない

本日はこのような疑問にお答えしていきます。

その説明にソロバンはあるか?

弊社には優れた技術をもつ会社からの融資相談がよく来ます。

その中には、特許を取得していたりだとか、技術的な優位性が高いような会社も多いのですが、なぜか融資に至っていません。

これは単純な話で、そういった技術をもつ会社は自社のロマンと製品の説明に時間を割きすぎる傾向があるからですね。

「自社の技術は素晴らしい」
「身体にすごく効果が出る」

このような強みは確かに誇るところがあると思います。

しかし、大変残念ながら、銀行はロマンよりもソロバンを重視する傾向にあるのが実際です。

もっと言うと、融資担当者に対して強みが十分に伝わっていない可能性が高いです。

それはなぜかと言うと、その製品や技術によって「実際にいくら売上や利益が上がるのか」が明確にできていないためです。

こと融資については、どうしても数字で事業や商品のインパクトを示すことが必要になるのです。

ソロバンにロマンを注入する

融資を受けるにあたっては、ロマンを現実的に落とし込んだソロバンが絶対的に必要になります。

その事業をやることでいくら利益が出て、いくら返済原資が作れるのか。

それらを数値に落とし込むことが必要になりますし、売上や利益の根拠をとめどない根拠と共に示すことが必要です。

具体的なソロバンが何かというと「精緻な事業計画や成績の良い決算書」になります。

創業融資の場合は、予想売上の精度を極限まで高めていきましょう。

具体的には「単価×数量(客数)」に分解して、予想売上が達成できる根拠を固め抜くことです。

例えば、顧客リストが1,000人あり、そのうち100人が平均単価5,000円の商品を毎月買ってくれるので月次売上は50万円、というように具体的にすることが寛容です。

創業以外の融資であれば決算書を磨き上げることが大事になってきます。

決算書を磨くとは本業の利益を表す「営業利益」をトコトン高めること。

売り上げはあるに越したことはないですが、利益なき売上は思っているほど評価が上がらないです。

返済原資は基本的に本業の利益から捻出すべきとの考えが銀行にはあるからです。

一方で、バランスシートに関しては「経営者貸付」に注意しましょう。

この科目があることで、銀行は「会社と社長の分離ができていない」と判断する可能性が高いです。

事実これまでの経験からも、多額の経営者貸付があることで融資金額が大幅減額になったり、経営者貸付を解消しない限り融資を実行しない銀行も多々ありました。

営業利益がある程度確保されている限り、多少交際費が多くても問題ありません。経営者の付き合いが仕事につながることも多々あるからです。

しかしながら、経営者貸付だけはできれば0、0でなくとも限りなく解消しておくことが望ましいです。

このように通常の融資では、決算書を極限まで磨き上げることによって銀行が是非とも融資したいと思うような企業に変わっていくことができます。