会計士の藤井です。

昨年の3月に開始されてから10ヶ月がたとうとしている通称「コロナ融資」ですが、この優遇策が終了するどころか、むしろ無利子融資枠が4,000万円から6,000万円に拡大する予定です。

このようなニュースをみるにつけ、我々に相談される方は「コロナ融資は普段の融資よりも受けやすい」と考えている方が多数いらっしゃいます。

しかし、その言説は「半分正解で半分間違い」だと思うのです。

本日は、運用から1年経過しようとしているコロナ融資を舐めてかかると痛い目にあう、と言う真面目な話をしてみようと思います。

コロナ融資に申し込んでみたけど落ちてしまった
まだ融資を受けていないけど、コロナ融資に興味がある

本日はこのような疑問にお答えしていきます。

コロナ融資は本当に受けやすいのか?

巷では融資が受けやすいと言われているコロナ融資ですが、ある側面からはYesで、違う側面からはNoといえます。

結論から言うと、コロナ融資は「すでに融資を受けていて返済実績を積んでいる会社に優しく、新規融資先には普段とそこまで変わらない」ということです。

要するに、コロナ融資の本質は「すでに銀行を儲からせている既存借入先の救済」ということなので、これから融資を受けようという会社には普段通りの融資審査が行われることになるでしょう。

地方の融資先に困っている銀行によっては多少緩んでいるところもありますが、我々の実感値からすると、新規融資の審査はこれまで通り行われている印象です。

事実、コロナ融資が始まった昨年3月以降、既存借入先には銀行担当者から連日のセールス攻勢がありました。

「一定の融資額まで無利子で融資しますので、是非この機会にお借り入れください」

このようなセールストークで融資残高を伸ばしていったと言います。

事実、すでに沢山融資を受けていた会社はコロナ融資によって融資全体としての利率が下がるだけでなく、返済期間も延びて最高だったと聞きます。

一方、銀行からすれば、無利子で貸し付けたとしても国から銀行に利子補給があるので、痛くも痒くもないわけです。

むしろ、国からの利子補給は必ず利子分をもらえますから、非常にお得な取引と言うことです。

会社はいつ倒産するか誰にもわからないので、そういった意味では国から利子補給してもらえる方が確実です。

このように「すでに素性が分かっていて返済実績(=信用)のある中小企業に、大量のコロナ融資がばら撒かれた」というのが一連のコロナ融資の実態です。

コロナ融資を舐めてかかるな

翻って、これから融資を受けようとする会社はしっかり準備して融資面談に臨まないと返り討ちに合う可能性が高いでしょう。

事実、我々に相談が来る案件でも、コロナ融資だからといって適当な準備をして融資の申し込みをした結果、否決されまくった案件が多数あります。

さらに言うと、一度融資審査に落ちてしまうと、その履歴は当該銀行内に残ることになります。

日本政策金融公庫の場合は、融資否決から6ヶ月は再度の審査が非常に厳しくなる(前回から大幅な改善がみられる場合を除く)と言われております。

また、他の金融機関でも一度落とした案件にすぐに融資すると言うのは、(融資否決の判断をした)審査部門のプライドを傷つけることになるでしょうから、及び腰になるはずです。

そういった意味で、コロナ融資を安易に考え、資料を準備せずに竹槍のみで臨むといったことは思わぬリスクがあります。

ということで、コロナ融資だからといって舐めてかからず、銀行が御社の魅力を十分に理解できるような資料を作って面談に臨むようにしましょう。