会計士の藤井です。
最近は事業承継やM&Aのご相談もよく受けるのですが、その中でもコロナ禍では不人気業種で買い叩かれそうです、と言う相談が複数ありました。
例えば、飲食業などオフラインがメインの業種においては、買い手が消極的になっているためなかなか満足した条件が揃わないという話です。
そのような業種においても、事業を再構築すればより良い承継をすることができますよ、という話をしているので、当ブログでも思うところを共有していきます。
コロナ禍の影響をもろに受けていて事業転換を図りたい
買い手からの条件提示に対して非常に不満を持っている
本日はこのような疑問にお答えしていきます。
コロナによって事業の前提が崩壊
結論としては「ポストコロナで顧客から受け入れられる事業を再構築することで、自然と事業承継やM&Aの条件も良くなりますよ」とアドバイスしています。
事業再構築の話を語る前に、新型コロナが事業に及ぼした影響について考えてみることにしましょう。
まず、オフラインを前提としている業界が壊滅しましたよね。
例えば飲食、旅行、イベントなど、オフラインだからこそ価値が高い業種がコロナで分断されてしまいました。
店内飲食というオフラインを前提にしていたらお客が来ない、移動が前提となる旅行には感染リスクがあるので行けない、大勢の人が集まるイベントはそもそも開催できない。
こんな感じでしょうか。
だったら全部オンラインでやればいいじゃん、という過激な意見もよく目にするのですが、私は違うと思うんですよね。
もともとオフラインだからこそ価値があった事業をオンラインで提供したとしても、普通に考えたら価値は半減するんですよ。
一例として、Zoom飲みがあります。
最初は面白がってよくZoom飲みがありましたけども、すぐに廃れていきましたよね?
なぜでしょうか?
やはり、飲み会というものはオフラインだからこそ楽しい、と皆様が思ったはずです。
このように、ただ単純にオンライン化するだけでは早晩行き詰まります。
あなたの強みは何ですか?
そこで重要になってくるのが「あなたの強みは何ですか?」という根本的な問いになります。
経営学的には強み=コアコンピタンス、と言いますが、この強みを理解しておくことで事業の再構築がやり易くなります。
なぜかというと強みは「提供価値の源泉」だからです。
単純にオンライン化するのではなく「提供価値を保ったまま事業内容を再構築」していくことが重要となります。
例えば、飲食店だとすると、デリカテッセンに業態変更するのは一つの解かもしれません。
コロナで中食市場がさらに成長しましたが、美味しい料理を作れるという提供価値はそのままに、中食市場を狙いにいくというアプローチです。
また、製造業だと家具を作っている会社が、その持ち前の製造技術を活かして飛沫防止のアクリル板を製造するなどもイメージがしやすいかもしれません。
繰り返しますが、大事なことは「ポストコロナのニーズをいち早く察知し、そのニーズと自社の強みを引き合わせること」これに限ります。
事業再構築と事業承継M&A
現在日本においては経営の引き継ぎ手がいないという事業承継難が社会課題となっています。
特に地方においてはその傾向が顕著であり、昨年乱発したコロナ融資が重荷になることもあって、事業の引き継ぎがうまく行っていないようです。
というのも、事業承継にあたっては先代経営者の個人保証付きの借入を後継者が引き継がなければならないケースが多いためですね。
この保証問題は自社だけではどうにもならず、金融機関や地方創生ファンドなどの協力が必要になるケースも少なくありません。
一方で、うまく業態転換を果たして、ポストコロナの世界で魅力のある事業にできれば、買い手としてもかなり事業承継の検討がし易くなります。
買い手の視点に立てば、これからのポストコロナで事業を伸ばせるかが関心事なので、売り手としても事業再構築によりビジネスをアップデートしておいた方が望ましいです。
だからこそ、自社の強みを明確化し、強みをポストコロナのニーズと合致させて事業転換を図っていくことが事業承継においても重要になってきます。
幸いにも、経済産業省が「事業再構築補助金」というものを創設していますので、こういった国の制度を使いながら、ポストコロナに合った事業に変革していきましょう。
それが巡り巡って事業承継の問題の一部を解決していくはずです。